競馬のある光景

競馬の発祥地はイギリスだと言われていますが、そのイギリスでは競馬は貴族のスポーツ、娯楽でした。例えばダービーなど、現在競馬の世界で使われている言葉の多くが、元々は貴族の名前だった、と言うことを考えれば、競馬と貴族社会との歴史的な深いつながりを感じ取ることができます。

 

イギリスを発想とする西洋式の競馬が日本に伝わったのは江戸時代の末期のことで、ちょうど江戸幕府の300年近くに及ぶ鎖国を打ち破って開国が為されてまもなくのことでしたは、競馬を日本に伝えたのも日本に在留する外国人でした。日本初の競馬開催は、そうした外国人たちの要望に応えるべく、徳川幕府が開催したものでした。
日本に伝わって間もない頃の競馬はさすがに貴族の娯楽としての色合いが強く、実際に競馬を楽しむことができたのは限られた階層の人たちでした。それが日本の市民社会が成熟し、日本の経済が発展してくるにつれて、日本の競馬も徐々に庶民化し、多くの一般市民が競馬を楽しむことができるようになりました。
戦前に日本にもあった華族制度が、戦後の一連の民主化政策によって廃止されたのもきっかけとなって、戦後の競馬は庶民の娯楽としての色合いを更に深めていくことになりました。その具体的な例として、競馬の世界には庶民を熱狂させて社会現象まで生み出すスター競走馬や騎手が誕生しています。ハイセイコーやテンポイント等といった嘗ての競馬界のスター競走馬の名前を、多くの人たちが知っていると思います。また競馬をモチーフにした流行歌や小説、最近では漫画やアニメも登場して、私たちにもすっかりお馴染みになっています。例を挙げれば歌ならば嘗てはソルティー・シュガーの唄う「走れコータロー」が大ヒットしましたし、またJRA中央競馬のレース前のファンファーレの着メロが、インターネットで膨大にダウンロードされているといった面白い現象があります。また連載漫画の例を挙げれば「みどりのマキバオー」や「優駿の門」などが挙げられます。それ以外はゲームとして競馬は既に一大ジャンルを築いています。「ダービースタリオン」や「ファミリージョッキー」といったゲームでは、レースを楽しむだけでなく、自分が馬主になって競走馬を買って育て、調教すると共に、レースに出走させて賞金を稼ぐ過程をも体感することができます。現在こうした文化やレジャーに競馬というジャンルがすっかり定着していることから、競馬が庶民の娯楽として、市民社会の一部分として定着している様子が伺うことができます。

 

現在日本には各地に何箇所もの競馬場がありますが、もしそれらの競馬場が皆さんの住まいからそれほど遠くなければ、一度実際に競馬場へ行って、本物の競馬を体感することをお勧めします。多くの競馬場は交通が比較的便利なところにあります。多くは鉄道やバス、地下鉄或いは路面電車といった公共交通機関が通じています。競馬場が最寄り駅から若干距離がある場合にしても、駅から競馬場への送迎バスが出ていることが殆どです。また競馬場そばの多くの駅では、レース開催日の混雑に対応できるよう、改札口から競馬場へと直接繋がっていたり、駅の設計上多くの便宜が図られています。また競馬場へ行くのに、マイカーはあまりお勧めできません。多くの競馬場では自家用車による来場者のための駐車場は完備されておらず、例え駐車場があったとしても多くは馬主などの関係者用か、一般の観客用でも収容台数が非常に限られています。周囲に民間の駐車場があっても、やはりそのキャパシティは限られるため、競馬開催日の競馬場周辺は大渋滞が発生したりします。従って競馬の主催者の多くが、来場者に対して公共交通機関の利用による来場を呼びかけています。

 

さていざ競馬場についてみると、その雰囲気は競馬の開催日によって若干異なるかもしれません。平日の開催、或いは比較観客の少ない地方競馬であったりすると、レースを見に訪れる観客はぐっと少なくなっています。場合によっては、一見怖そうな中年男性であったり、場外にたむろす予想屋の姿であったり、ちょっと怪しげな雰囲気を醸し出しているかもしれません。実際に競馬場に行ったことのない多くの人が、競馬場に対してはこうしてちょっと怪しいイメージを抱いているのではないでしょうか。ですが勿論競馬をレジャーと考えて、まるでスポーツ観戦でもするように、競馬を気軽に楽しむ健康的な観客もたくさんいることは間違いありません。それに最近は競馬界のイメージチェンジの努力や、宣伝の効果もあって、昔に比べ競馬場に女性の姿も増えてきました。
競馬の楽しみはやはり何といってもギャンブルとしての楽しみです。というわけで折角競馬場を見るなら勝馬投票券、即ち一般に言う馬券を買ってみましょう。馬券の買い方、競馬予想の仕方はいろいろとあってバリエーションに富んでいるので、自分の懐具合と相談しながら、自分の好きなやり方で予想してみましょう。当然のことですが、簡単な予想は的中させやすい代わりに当たったときの配当金も低く、逆に複雑で難しい予想は的中する確率が低いですがその代わり当たったときの配当はものすごく大きくなります。競走馬の人気もそうです。人気の高い馬は勝つ確率が高いですが、勝った時の配当にはあまり大きな金額は望めません。逆に人気の低い馬はなかなか勝つことはありませんが、その代わり稀に勝ったりすると非常に大きな配当金額となります。俗に万馬券と呼ばれる高額配当が出るのもこのケースです。ローリスク・ローリターンかハイリスク・ハイリターンかは馬券を買う人の好みで決定できます。ちなみ競馬予想の内容は、競馬新聞やインターネット、携帯サイト等で様々な競馬情報を参考にしてもいいですし、少し競馬に詳しい他人に聞くこともできます。勿論自分の勘に頼ってもいいのです。何はともあれ自分なりに競馬予想をして楽しみましょう。

 

競馬場に入場する際には入場料を払います。競馬場の入場料はたいてい非常に安い値段設定になっているので ふうせんを片手にお子さんと一緒にレースを観戦したり、別に料金を払って指定席や会員席等、一般席に比べてグレードの高いスタンドで見ることもできます。そうした別料金のエリアは一般席よりも眺めのいい位置に設置されているのが普通ですし、また飲食などで一般席とは異なったサービスが受けられることもあります。競馬場によってはそうした特別席とも呼べる席の収容人数が少なく、かつ人気が高いとあって、発売されてすぐ売り切れるといったケースもあります。
競馬場に詰め掛ける観客は、平日開催やグレードの高くないレースの場合はあまり多くないこともありますが、逆に休日や特に大型の重賞レースが行われる日には、数万人規模の観衆が詰め掛けることもあります。観客が多いときも少ないときも、競馬場にはそれなりに競馬場らしい雰囲気が漂っていると言えます。競馬場では一日に複数のレースが開催されています。中央競馬なら一日に大体10から12レースといったところでしょうか。レースのたびに観客たちは盛り上がり、レース結果が出るとそれぞれ観客の歓喜と落胆とが入り混じります。レース後の周りの観客たちの表情を見渡してみても色々な人間模様が見て取れるのではないでしょうか。レース開催日には普通一日に幾つかのレースが開催されますが、その中の一つがその日のメインレースになっています。メインレースがその日のレースのクライマックスです。特に有馬記念や日本ダービー、天皇賞等といった大型のG1レースの場合、レースの時間が近づくにつれ、数万の観客の興奮と熱狂が徐々に最高潮へと高まっていきます。そうしてお馴染みのレース前のファンファーレが鳴り響き、それに合わせて数万人の期待に満ちた歓声と手拍子の音とが鳴り響くとき、競馬場全体の興奮が頂点に達します。

 

スターター台上のスターターが旗を振り、競走馬たちの入ったゲートが開き、ここで出走馬が一斉にスタートします。馬たちは地響きを轟かせながらく走っていきます。観衆たちは自分の応援する馬に声援を贈ります。それ以外にも観客スタンドからはざわめきと歓声、そして怒号が巻き起こっています。その中を馬たちは一斉に駆けて行きます。馬たちの順位も絶えず変動します。そして再び観衆からの歓声の大きさが頂点に達するのは、馬群が第4コーナーのカーブを曲がり終え、最後の直線に差し掛かってからです。騎手が馬に懸命に鞭をいれ、馬はラストスパートに入ります。それまでは縦に長かった馬群が、最後の直線では横一線に広がり、ある馬はコースの内側を、ある馬は大外から、それぞれ一斉にゴールまでの直線を爆走していく様子は、まさに観客を圧倒します。観衆スタンドからは声援やら叫び声やら悲鳴やらが入り混じって、同時に頭の上からはスポーツ新聞や馬券が紙吹雪となって舞い、もうわけのわからぬ凄まじい光景です。そして馬たちが次々とゴールを駆けぬけていき、レースの決着がつきます。周りの観衆からはどよめきと、歓喜の声或いは落胆の声とが渦巻いています。
レースが終わっても観客の興奮が冷めません。ここで場内に設置された電光掲示板にレースの着順、結果と配当が表示されます。ここで観衆スタンドからは再び歓声が上がります。ここで高配当や万馬券が出た場合、競馬場全体から大きなどよめきの声が起きるでしょう。レースが終了し、順位が確定した後、レースに勝った馬と騎手が再び現れてウイニングランを行います。予想を的中させた観衆は喜びを表して手拍子を打ち、歓声を上げて馬と騎手の健闘をたたえます。レースの開始前と同様も、ここでも馬と観客とが一体となり、競馬場がまるで劇場のように変わっています。

元々が貴族の娯楽だった競馬は、現在こうして庶民の娯楽としての地位を築いています。競馬場はある意味、庶民のパワーを発散するところで、また庶民の熱気と情熱とを体感するところでもあります。馬と騎手、それに数万もの観衆とが一体となる競馬場、そんな熱いドラマが展開される競馬場に、皆さんも一度足を運んでみませんか?今まで競馬に関心が無かったという皆さんもきっと競馬の持つパワーに触れ、その魅力を体験することができると思います。競馬は無論ギャンブルですのであまり熱くなってはいけませんが、皆さんが競馬と素敵な出会いに巡りあえますように。

 


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最終更新日:2016/9/12